不動産屋たちのココだけのハナシ
不動産屋たちがお届けする「ココだけのハナシ」。 知ってると得する話や、知られざる裏話など、様々なエピソードを綴っていきます!
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Author:不動産屋たちのココだけのハナシ
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立退きお作法指南
築年数の経っているアパートに住んでいる場合。
ある日突然に大家さん側から「立退き願い」が来ることがあります。

多くは建物の老朽化→再建築のための取り壊しを理由に立ち退きをお願いされるケースがほとんどで、マレにそれほど古くない建物でも相続発生(大家さんの逝去)による建物売却を理由とした立退き依頼のケースもあります。

さて、ではアナタのトコロに「立退き願い」が来た場合、どのような対応が一番妥当、得策だと思いますか?

1.大家さん側が提示してきた条件が妥当であれば承諾し、立ち退く

2・更に良い条件が引き出せるまで粘る

3.立ち退かない(笑)

法的に言えば、入居者=賃借人の立場というのは非常に強く保護されており、原則としては大家さん側がいつでも自由に賃借人を立ち退かせるコトは出来ないようになっています(但し賃借人に契約違反がある場合は別)。

そうは言っても、現実には立ち退きを迫られる場面もある訳で、双方の話し合いが円満にまとまらない場合には「裁判」で決着をつけるしかなく、その際に争点となるのが正当時由(せいとうじゆう)という「立ち退きをお願いする理由の正当性」になります。

例えば、大家さんが年配の方で自宅とアパートを1軒所有していて、不幸にも自宅が火事で全焼し、建て直すお金もなく住む場所もない、という場合には、アナタがそのお部屋を必要としている度合と年配の大家さんがそのお部屋を必要とする度合を比較して、より必要としている度合の高い方の主張が認められ、アナタがもし経済的にも引越す余裕があり、どうしてもそのお部屋でなければならない事情がない限り、大家さんが住むためにお部屋を明渡さざるを得ない、ということになります。

ところが、実際にはそれほど必要性の高い立退き依頼はマレで、老朽化による取り壊しなどは余程その建物がボロボロで修理代も多額に掛かり、家賃を貰っていてもマイナス( ̄▽ ̄;という状況でもない限り、大家さんの修理代負担よりも賃借人が引越しに掛かる経済的負担の方が多いとみなされて、賃借人が住み続けたいならばそれも可能、というコトになります。

しかし、今「引越しに掛かる経済的負担」と書きましたが、ではその負担がなかった場合はどうなるでしょう。

それがいわゆる「立ち退き料」と言われるモノで、大家さん側の正当時由が弱い場合にそれを補完する材料として金銭を支払い、賃借人が立ち退きによる経済的負担を被らないようにするのであれば、賃借人のデメリットが打ち消され、立退き請求が認められ易くなります。

そのため、余程の老朽化でない場合の取り壊しの際は、一般的には立ち退きの条件として「立ち退き料を提示する」コトがほとんど。

では、その「立ち退き料」の一般的な相場はどれくらいなのでしょうか。

これは、前述した通り「引越しに掛かる経済的負担」を取り除くための金銭ですので、現在住んでいるお部屋と同程度の家賃の部屋を借りる際に掛かる契約金と、その引越しに掛かる引越し代程度、ということになります。

が、これもあくまで一般的なケースであって、事情によって変わる場合があります。

例えば、通常立ち退きをお願いするためには相当な猶予期間(一般的には半年くらい)を設けるべきところ、大家さん側の事情で2ヵ月で明渡して欲しい場合などはプラスアルファの立ち退き料が提示されるかも知れませんし、逆に入居者が家賃を溜めがちで問題児だった場合には滞納分と相殺されるコトもあるかも知れません。

というコトで、話を「どうするのが得策か」という問いに戻しますと、やはり

1.大家さん側が提示してきた条件が妥当であれば承諾し、立ち退く

が1番得策かと思います。

なぜならば。

確かに引越すには金銭的な問題だけでなく荷造りの手間や各種届出などの手間が掛かりはするものの、だからと言って立ち退きを拒否しても恐らく行くところ(=裁判)まで行ってしまえば「面倒だから」という事情では正当性が弱く、結果は引越しせざるを得ないうえに裁判の手間まで増えるコトになります。

では「2.更に良い条件を引き出すまで粘る」としても、相場よりも全然低い条件提示ならまだしも、相場並みであればそれ以上の交渉は「ゴネ得」と取られかねませんし、「では建物が朽ち果てるまでどうぞ住んでて下さい」とでも開き直られてしまったら、他の部屋は空っぽになった廃墟のような建物に自分だけ残される事態にもなりかねません(その場合、立退き交渉は打ち切り、いざ引越そうとしても一銭も受け取れない、なんてコトも)。

「3.立ち退かない」も特殊な事情があれば別ですが、結局は裁判になる煩わしさを考えれば、ある程度の条件を飲んで、費用も掛からずに真新しい部屋で新生活をスタートさせた方がよほど前向き、というもの。

実際にあったケースで、ゴネ得を期待した賃借人が大家さんに吹っかけ、怒った大家さんが他の空いた部屋から取り壊し、その部屋と通路だけを残して正に廃墟を作り上げて根比べに発展、音を上げた賃借人が立ち退き料ゼロで引越した、というコトもありました。

という訳で、ある日突然「立退き願い」が来た場合には、条件が妥当かどうかを冷静に見極め、前向きに交渉に応じる、という対応がベストに思います。

なにせ大家さんも不動産屋さんも、理不尽にゴネて怒らせると。
徹底抗戦する術を知っていますから(笑)(←“笑”じゃないだろっ!)

by「夜旦那」

テーマ:住宅・不動産 - ジャンル:ライフ